ライフエンディング・ステージにおける専門家のシームレスなサポートの必要性

2021年10月13日 13:40

本人の終末期に関して本人と家族をシームレスにサポートできる専門家が求められています

  ライフエンディング・ステージという言葉は最近ではよく見かける言葉になってきました。
本人が人生の終末期を迎えるにあたって、その時期の準備や死別後の準備を生前の元気な時に行なっておくという「いわゆる終活(相続準備を含む)」と、死別を迎える「遺族が」その後行わなければならない遺産承継等の相続手続き、遺品の整理等を経て「元の生活に戻るまで、そして承継した遺産の活用等」を合わせたものが「ライフエンディング・ステージ」ということになるのではないかと思います。
このライフエンディング・ステージは人生の流れの中にある一定の期間であり、1人の人間だけではなくその人に関わる複数の人間に関することになります。つまり、本人のライフエンディング・ステージは、本人だけではなくその家族も巻き込んだ、その家族にとっての一大事となりますので、本人とその家族の両方を対象にしたものとなります。いわゆる「おひとりさま」の場合は、「その家族」の部分が「友人・知人・関係者等」となるのだと思います。
一人の人間の人生の一定期間であるライフエンディング・ステージは当然に切れ目なく進んでいく訳ですから、そこに発生する事態も切れ目なく進行していくことになります。
人生の終末期に向かっての医療の問題、かかりつけ医という制度が当たり前になってきている昨今ですが、自分で通うことが出来なくなった場合にどうするのか、重篤な病を患っていた場合にどうするのか、などの問題も発生してきます。そして介護の問題も発生してきます。介護問題へ進行していく中では個人差はあるものの「認知症」の問題が大きくのしかかってくる可能性もあります。
医療・介護の問題では訪問医療・看護、訪問介護、ホスピスなど個々の状況に応じて考えていかなければならないことがあり、本人にとっては、気がついたらそのような状況になっていた、どうしようか、ということもあります。その先には「延命治療の問題」、「相続」と続いていきます。
 このような人生の切れ目の無い流れの中で発生していく事柄について専門知識の無い一般の人は専門家のサポートを必要とする場合があります。しかし、それは個々の独立したサポートではなく、全てがシームレスに繋がったものでなくては頼る側としてはかえって困惑してしまうようなことにもなりかねません。シームレスに繋がったサポートによって、前段階で行ったことの意味が次の段階でも継続していくことになる訳です。
 一般的によくある話で例えると、相続税対策として建てたアパートは、相続税対策しか見ていないので遺産分割の時に問題が発生しやすくなります。前の段階であるアパートの建築の意味は次の段階である遺産分割に意味をなさなくなるどころか悪影響を及ぼすこととなってしまうことがあります。相続税と遺産分割を個々の独立したものとして扱ってしまうと問題が発生する可能性があるので、繋がったものとして考えていかなければなりません。
 医療や介護のサポートをしていた専門家A、認知症対策のサポートをしていた専門家B、遺言作成をサポートするC、それぞれが独立してスポット的にサポートを行なっていた場合と、Cが主軸になってAとBをマネジメントしてサポートした場合とでは、全く違うサポートになる可能性があります。
前者はスポット的にサポートする形ですから各々バラバラになりやすいのに対して、後者は全体を通して見ているCがいますので医療・介護・認知症対策・遺言とシームレスに継続的なサポートが可能となります。
更には、相続開始前から本人をサポートしてきた専門家(前述の例で言えばC)が、相続開始後の相続手続き支援、葬儀・お墓に関する支援、遺品整理等の死後の後片付けの支援など、ご遺族や関係者等が日常の平穏な生活に戻るまでをトータルでサポートすることが求められてきます。
 相続、葬儀やお墓をメインとした終活、エンディングノート、などなど、個々の専門分野を看板にしながら本人や家族をサポートする専門家や専門機関が多数存在しますが、今後求められてくるものはスポット的なサポートではなくて、本人が終末期を迎えるにあたって本人とその家族等をシームレスにサポートしていくことではないかと思います。

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